三体


三体が文庫になって本屋に積まれていたので、やっと読みました。
確かにおもしろい。600ページ超とかなりの分量ですが、一気に読みました。

冒頭のショッキングな文化大革命時代の場面を過ぎると、中盤までは淡々と話が進みます。不思議な研究施設の内部と、そこに関係することになってしまった主人公。少しずつ謎が提出されて飽きません。そして、ゲーム内世界が交互に現れて来ます。

終わりに向かっての盛り上がりはすごい。智子プロジェクトの実験の場面はとても面白い。これまでの長い話が、この場面のための伏線だったとわかります。

でも、面白いんだけど、人物の描写が平板な気がしてしまうのはなぜだろう。人類を裏切るような行動に出るまでの動機を描くのに必要なのはわかるけれど、最初の文化大革命の描写は大げさすぎるのではないのかな。何だか上滑りしているみたいに思えてしまう。

もともとSFはあまり得意じゃないんです。偏見とは思うのだけれど、どうも人物描写が薄い気がして感情移入できない。

例えば、火の鳥でいうと歴史編はとても興味深く読める。でも、未来編になると何だか平べったく見えてしまいます。

でも、そんな理解力のない読者でも面白く読めたというのは、よくできた小説なんだと思う。途中まではよくわからないと思えても、最後はとても盛り上がるので、途中で止めてしまうのはもったいない。


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